その重い雰囲気に耐えき
れなかった壱加は、ふと
小さな声を漏らした。
「何でそんな大層なもん
を見ようとしてんだ!?」
若干悲しみを帯びた消え
入りそうな声だったが、
弥嘉はすかさず答えた。
「……大分前のことです
から覚えていらっしゃら
ないかもしれませんが、
私は元々幼なじみを探す
ためにここへ来ました。
どうやら彼女は、国家と
守護者の抗争に巻き込ま
れたらしいのです」
「――――!!!!!?????」
壱加はやはり覚えていな
かったらしく、あまりの
驚きで言葉を失った。
その様子を暫し眺めつつ
弥嘉は言葉を続けた。
「ここ最近、図書館内の
資料を大量に読みあさり
ましたが、不自然すぎる
くらいその当時のものが
見つからなかったため、
ふと考えました。彼女の
失踪は、両者にとっての
機密事項ではないかと」
それを聞くなり、壱加は
何かに思い当たったのか
突然ベッドから勢い良く
立ち上がった。