「さなえちゃんが、その
ようなことを……」


そう呟きつつひとしきり
涙を流した弥嘉は、よう
やく決心したのか壱加を
正面に見据えた。


「ところで、壱加は第二
閲覧室の北側に何がある
かご存知ですか?」

「…………知らねぇな」


突然の話題転換に壱加は
怪訝な顔をしたが、彼女
の真剣な眼差しを見ると
静かに述べるに留めた。


「どうやらそこには守護
者のみに入室が許された
部屋があるそうです」

「それとあのカードに、
何の関係性がある?」


益々混乱する彼を見て、
弥嘉は段階を追って説明
していった。


「あのカードとリスト、
正確に言えばリスト内の
資料なのですが、これら
はその部屋に行くための
鍵となります」

「随分厳重だな……一体
そこに何があるんだ!?」


壱加がそう訊ねるなり、
弥嘉は先程よりもさらに
深刻そうな表情をした。




「一般には公開出来ない
ような、国家と守護者に
関する機密事項の資料が
所蔵されてるそうです」




その瞬間、2人は保健室の
空気が一段と重くなるの
を無意識に感じていた。