「……まさか女に姫抱き
される日がくるとはな」


保健室のベッドに降ろさ
れるなり、壱加は溜め息
混じりでうなだれた。


「まだそのように仰るの
ですか?別に、それほど
大したことじゃあ……」

「男にとっては死活問題
なんだよっ!!俺にだって
それなりにプライドって
もんがある!!」

「それで足の痛みが悪化
でもしたら元も子もあり
ませんよ?……っとこの
大きな袋でしょうかね」


弥嘉は湿布を探しながら
呆れた口調で言った。


「では、一応手当てさせ
て頂きますけれども明日
になったらすぐに病院に
行ってくださいね?」


そう言うと、弥嘉は彼の
反応を窺いながら湿布を
貼った後、慣れた手つき
で包帯を巻いていった。


「は!?今日土曜だろ!?」

「既に、お昼をまわって
いますからどこも診察は
してくれませんよ?」


弥嘉はそう答えるなり、
壁にかかった大きな時計
に視線を向けた。

時計はあと数分で13時を
指すところであった。