弥嘉の涙が一段落した頃
紗奈恵は思いだしたかの
ように言葉を紡いだ。
「そう言えば、弥嘉達が
船にいる間に学校で式が
行われたらしいわね」
「ら、らしい?」
「私、駄々こねてずっと
船の外にいたもの」
「――っ!!本当に有難う
ございます!!」
彼女の言葉を聞くなり、
弥嘉は目を見開き深々と
頭を下げた。
「ですが……やはり式は
見ておきたかったです。
もう二度と、お会い出来
ないでしょうから」
「え!?確かあの子……」
不意に呟かれた紗奈恵の
言葉は、軽快に響く音に
奇しくも遮られた。
ガラガラガラーーーーー
「やっほ~い☆昨日ぶり
だねぇーヤヨ、サナっ!!
おっ!!壱加もいるし~」
「――――!!!!!?????」
「よっ!!邪魔してる」
「おはよう、耀。相変わ
らず、朝っぱらからテン
ション高いわねぇ」
「ちょっと……軽く私を
無視しないでくれる?」
「え~無視してないよ?
翠はあたしの中で、既に
“空気”認定だから呼ん
でないだけだってー☆」
「それは、暗に存在感が
ないって言いたいの?」
「違う違う!!一緒にいる
のが当たり前ってこと」
驚きのあまり言葉を発せ
られない弥嘉をよそに、
他のメンバーは普段通り
の会話を繰り広げた。