すると突然、弥嘉の目に
僅かな間であったが赤い
残像が映し出された。


「――――!!!!!!!!!!」


急に口を閉ざした弥嘉を
訝しんだ壱加は、彼女の
顔を下から覗き込んだ。


「……弥嘉?どうした?
何か見えたのか?」

「――!!!!!!い、壱加」


ようやく壱加の声で我に
返った弥嘉は、しどろも
どろではあるが先程見た
光景を彼に説明した。


「えっ……と、どなたの
ものかは存じませんが、
緋色の目が見えました」

「緋色の目?まぁ伝説の
通りなら睦月様のもんで
間違いなさそうだけど、
他には何かねぇの?」

「は、はい。それ以上は
もやがかかったかの如く
全く見えません」


弥嘉はそう言い終わると
すぐに目を伏せ俯いた。

それを聞いた彼は焦りの
表情を浮かべた後、思い
切り頭を抱え込んだ。


「――っんあ~!!この先
どうすりゃいいんだよ!?
俺は睦月様相手に逆探知
出来るほど力ねぇぞ!!」

「………………………」


その様子を弥嘉は申し訳
なさそうな顔でひたすら
黙って眺めていた。