「あらあら、まだ慣れて
くれないようね?純粋な
のは良いけれど、こうも
毎回固まられると流石の
私も傷つくわ……」


そう言って大袈裟に溜め
息をついた翠に対して、
紗奈恵は鬼の形相で睨み
つけていた。


「――翠、いい加減にし
なさいよね!!アンタには
“学習能力”ってもんが
備わってないわけ!?」

「朝からグチグチ五月蝿
い女ねぇ。それに何で今
日になっていきなりタメ
口きいてるのよ、意味が
分からないんだけど」

「言わずもがな、アンタ
なんかに敬語を使う必要
性を全くもって感じなく
なったからよ!!お·分·
か·り頂けるかしら?」


話の論点がずれているの
にもかかわらず、さらに
口論は激しさを増す。


「いちいち腹の立つ言い
種だこと……ちょっとは
女性らしく謙虚に振る舞
ってみたらどうなの?」

「女装趣味のド変態男に
言われなくても、余所で
はそれなりにやってます
のでどうぞご心配なく」


翠の切り返しに、彼女は
微笑みながら毒づいた。

意味のない美人達の言い
合いに、クラス中が辟易
しきったのはもはや言う
までもない。