事件の翌朝、弥嘉は一人
静かすぎる図書館で本を
読みあさっていた。
長机の上には、無造作に
様々な種類の文献が積み
上げられている。
「……なかなか見つから
ないものですね」
弥嘉は文献を捲りながら
大きく溜め息をつき一人
ごちていた。
ガラガラガラーーーーー
するとやけに響く扉の音
と共に、長い影が弥嘉の
視界を一瞬暗くした。
「こんな所にいた」
「――!!!???さ、さなえ
ちゃん!?何故ここへ?」
いきなりの彼女の登場に
弥嘉は声が裏返った。
それを聞いた紗奈恵は、
若干呆れた表情をした。
「随分探し回ったのよ?
もうHR始まるから」
「えっ!?もうそんな時間
なのですか!?」
そう言うと弥嘉はすぐに
立ち上がり、時計を確認
すると慌てて本を片づけ
始めた。
時計は、HRの5分前である
8時半を既に指していた。