会話の中に隠されていた
真実に呆然とする壱加を
よそに、弥嘉は尚も話を
続けた。
「同様に次のものも見て
いきますが、アライブを
“arrive”に置き換えて
日本語訳に変換しますと
“到着する”です。また
“一時間SPの後”は一部
抜粋して“一時間後”。
また、飛行機は少し古い
英語でshipと言うそうで
これを一般的な日本語訳
だと“船”となります」
「――“船は、1時間後に
到着する”か。やっぱり
弥嘉も奥の奴らの話聞い
てたんだな」
「は、はい。聞くつもり
はなかったのですが」
彼の思わぬ発言に驚いた
弥嘉は口ごもりながらも
律儀に答えていた。
その後弥嘉は最後を飾る
べく、深呼吸をしてから
言葉を紡いでいった。
「では……最後の会話の
“龍”は言わずもがなで
すが“ドラゴン”、また
“他”と“ない”だけを
を抜き出しますと?」
「――“他にドラゴンは
いない”ねぇ……良くも
まぁあんな短時間でこれ
だけの事が思いつくな」
壱加が弥嘉の機転の良さ
に本気で感心していると
彼女ははにかみながら、
「ただ必死でしたから」
と一言だけ呟いた。