「みんな・・・苅谷苅谷って!そいつのどこがいいの?!」


苛立つ山中は腕をくみ俺を睨みつける。


背中で微かな視線を感じた俺は、ただ無心で答えた



「どこがなんてわからない!・・・ただ・・・・・・ただ好きだから」



俺の言葉をうけ、より不機嫌になった山中は軽く舌打ちをして、向こうへ振り返った。


「馬鹿みたい」


誰の事をさしているのかわからないその言葉は、俺に伝わる前にぐちゃぐちゃの土へと堕ちた。


なんでもいいよ。気持ちは変わらないから。


山中を含む女子たちは、小さく不満を唱えながら、ぞろぞろと俺たちの元から静かに消えていった・・・。