苅谷を指差して雨と混じって嘲笑する女子たちの声。


俺の握り直した拳は、決意で固められていた。


もう気付いた時には走っていて、案外無心な自分は決して強くはなく、絞り出した根性だった。


あんなに簡単に言い返せた日々は、迷いのなかった日々は、悩むものがなかったから過去にあったんだ。



やっと自分の気持ちがわかった気がする。


やっと心を知った気がする。


俺は風をきりながら心を見つめ直す。



――――――俺は、苅谷が好きだ!