「およ・・・・・・?」



古谷が脳天気な声をあげると、苅谷の小さな手では隠しきれなかった頬に涙が伝うのが見えた。



ツーー・・・・・・
と、下へと延びていく涙はたった一滴だけだったけれど、なんだかとてつもない重みを感じた。



握りしめた拳は、だんだんと力が抜けていく。雨が響き渡る湿気た廊下。
そこにいたのは紛れもなく弱い自分だった。



「おい・・・」

水町が耐えられなくなった自分の感情をぶつけるかのように古谷のネクタイのゆるい胸ぐらを掴んだ。