1つ持って売りに行こうとした時にナナンに見つかり球を奪われ、仕方なくもう1つを売ろうかと家に戻ったら無くなっていた。

「……」

 一同はあっけにとられる。

「じゃあ……そのもう1つをあいつらが盗ってったって事?」

 ディランの言葉にナナンは頷いた。

「そうとしか考えられんの。しかし大きな1つだったものが2つに分かれたのじゃ。エネルギーは普段出来るモノより多少、少ないかもしれん」

「それでも危険なエネルギー量に変わりはないんじゃないのか?」

 白銀の言葉にナナンは両腕を組んで黙り込んだ。

「お師さま。これではどうにも動けませんな」

 やはり情報が少ない。

「うむ。ああ、エイルクもう良いぞ」

 ナナンはちょいちょいと手の甲で帰れと示す。

「……」

しかしエイルクはナナンをじっと見つめて帰ろうとはしなかった。