奈緒ちゃんがこの場から離れた後、入れ替わるように分娩室の中から看護師が出て来た。


「あなた、藤村さんの娘さん?」


「え?あ、はい……」


小太りの女性看護師に訊かれて一瞬だけ戸惑いながらも頷くと、彼女は優しい笑みを浮かべながらあたしを見た。


「藤村さんがね、あなたの手当てをしてあげて欲しいって言うのよ」


「え……?」


看護師は凪兄にも視線を遣って、困ったように微笑んだ。


「……どうやら、二人とも手当しないといけないみたいね」