「へっ……?」


一瞬にして自分の体が宙に浮いた事に驚いていると、分娩室の前にある長椅子に降ろされた。


「あ、ありがと……」


戸惑いながらもお礼を言ったあたしに、凪兄が優しい笑みを向ける。


「あたし、希咲ちゃんのお父さんに連絡して来るね。凪は、希咲ちゃんに付いててあげて」


「連絡なら、あたしが……」


「イイから。希咲ちゃんは、凪と一緒にここにいて。ね?」


あたしを制した奈緒ちゃんに甘える事にして、彼女にパパの携帯の番号を教えた。