「ふざけんなっ!!希咲に何したんだよっ!!」


「……っ、凪兄っ!!」


気が付くと、あたしは泰人を殴っている凪兄の背中にしがみついていた。


咄嗟の出来事だったけど、考えるよりも先に体が動いていたんだ。


「希咲、放せっ!!」


冷静さを失くしていた凪兄は、そう言いながらも泰人に拳を振り下ろし続ける。


「凪兄、ダメッ!!やめてっ!!あたしは大丈夫だからっ!!」


どんなに叫んでも、あたしの声はまるで凪兄には届いていないみたいだった。