「残念だったな、希咲。せっかくのゲストに見て貰えなくて」


朋子のお陰で少しだけ気力が戻って来たけど、あたしを見下すように笑っている泰人に言い返す気なんて無い。


「とりあえず、さっさと済ませるか」


あたしが何も言わない事をわかっていたのか、彼は独り言のように呟きながら自身のベルトに手を掛けた。


カチャカチャと鳴り響く金属音に、これから起こる現実を突き付けられる。


恐怖心が蘇って来た事を悟られたくなくて、泰人を睨んでいた視線を絵里香に向けた。