『できた――!!』

外を見ると…すっかり真っ暗。


隼人…レモンパイ待ってるのかな??


「顔緩んでますよ―」

『……ッ!!梨菜!!///』




ーぱくっ


「うん、今日のは一段とおいしいね。」

梨菜が私の怒りをスルーして、味見用のレモンパイをつまんで言った。


『今日のは…トクベツだから…ね』

「へー。決めたんだ??」


『うん。私、もう逃げない。だから――…渡す時に言うよ。


隼人に…"好き"って。』


今日は…言える気がするの



「そっか…」

梨菜は…優しく微笑んでくれた。



パタパタ…


ガラッ


調理室のドアが開いた。


振り向くと…


「はぁっ…ハァ…ッ松本さん…」


『…森川さん……??』


サッカー部のマネージャーの森川さんが…息を切らして…調理室のドアの前に立っていた。


『どーしたの??』


慌てて尋ねる


「隼人から…伝言。」



ドキッ




『隼人…から??』


"隼人"って聞くだけで…鼓動が高鳴るよ…


重症だな…


「うん。今から…15分後に来てって。」


『15分後??』

「なんで??」

梨菜と交互に質問する。


「着替えとか…あるからだと思う。」


控え目に森川さんが答えた。



『そっか…分かった。わざわざありがとね。森川さん。』


「うん…じゃあね。」

『「ばいばーい」』



パタパタ…


森川さんは…部活へ戻って行った。




私は…忘れてたんだ…


応援してくれてる人だけが…


人なんじゃないって事を――…