「レモンパイ来た??」

「え??来てないけど??」


俺は練習の途中で、マネージャーにレモンパイを届けに芽依が来たか、確かめていた。


「そっか…」

早く来ねーかなー?



「なーに―??隼人、レモンパイ好きなの??」


「まぁな…」

レモンパイのコトを聞かれると――…


芽依のコト思い出して…


なんとなく…顔が緩む。


「――そうなんだ…」


一瞬…森川の顔が…
暗くなったように見えた。


その時…


「隼人――!!!」


那緒が俺を呼んだ。

やべっ!!ミーティングするとか先輩言ってたんだ!!


「おうっ!!じゃあ…森川!!来たら、待っとけっていっといて!!」


「え――…ちょ、隼…「頼んだ――!!」


俺は、走りながら…叫んでいた。


だから――…

森川の小さなこのつぶやきが聞こえなかったんだ――…



「レモン…パイ…」