「ゴメン! 待った?」

 第一声から謝りながらも、

――まるでこの言葉って恋人の待ち合わせみたいだなぁ

 なんてノンキなことを考えてしまう。

「待ったけど、何か?」

 この真里の一言で一気に現実に引き戻される。
 とりあえず……とりあえず謝れ!私!

「ゴメン! ほんとーーーーに! ゴメン!」

 ペコペコとひたすら平謝りする。
 衆目の前でこんな真似させてゴメンよ、隼人くん。

……って、アレ?そういえば車の中でも隼人くんがしゃべりかけてきてない。

――どういうこと?

 あー!そんなことを気にしてる場合じゃない!
 まずは目の前にいる真里の!コイツの怒りを解かないと!
 頭を下げた状態から上をチラっと見てみる。
 真里の顔が真っ赤になってる。耳まで真っ赤。

……やべえ、そんなに怒ってるのか?

「――もうっ! 早く頭上げて! 移動するわよ! 恥ずかしい!」

――あ……怒って真っ赤じゃなくて、恥ずかしくて真っ赤だったのね。