隼人くんと手を繋いだまま花畑を少し歩いた。
 向かいの山に夕陽が沈んで行くのが見える場所で二人で腰を下ろす。

 向こうに山が連なっているのが見えて、
 山間に夕日が沈んでいってるのが見える。
 夕日に照らされて周囲の景色は綺麗なオレンジ色に染まっている。

 美しい景色を眺めていると――隼人くんが私の手の上に自分の手をそっと重ねてきた。

――あ、この『光景』!

 ふと、どこかでこの『光景』を見たような既視感に襲われた。
 横に座る隼人くんの顔を見ると――隼人くんも同じような表情をしている。

「――ひょっとして……隼人くんも?」
「――まさか……真里ちゃんも?」

 隼人くんも同じ既視感を抱いているなら――。

 自分の中にある『イメージ』の流れに行動を任せてみる。
 思った通り……私と隼人くんはまるで示し合わせたように――その場で接吻を交わした。

「ねえ、これが――『マリ』の見せたかったことなのかな?」

 隼人くんに質問してみる。

「そうかもね……」

 隼人くんが優しく微笑みながら答える。

 沈み行く夕陽を眺めながら肩を寄せ合う私たち。
 夕陽に包まれながら――私たちの中に眠る『もう一人の私』――『マリ』が嬉しそうに笑っている顔が見えたような気がした。

―― ちぇんじ 完 ――