あの『入れ替わり騒動』から二週間の時が過ぎた。
今、私たちは『もう一人の私』との約束の場所。
『とある山奥の花畑』に来ている。
ここまでの道のりも半端では無かった。
隼人くんのお母さんの運転する車で山の中腹辺りまで連れて来てもらったが、それから歩くこと三時間。
すでに私の足も限界に近付いていた。
「もう少しだから頑張って!」
隼人くんの励ましの言葉に支えられつつも、『もう一人の自分』と安易な約束をしてしまった自分を少し恨む。
でも、この『約束』はなぜか絶対に果たさないといけないような気がして――。
しかも、自分の中で『夕方に到着しなければいけない』というような訳の分からない強迫観念じみた思い込みまで発生し、わざわざ隼人くんに夕方に到着するように予定まで組ませてしまった。
時刻はもうすぐ夕焼けを迎える。
「もう歩きたくないよー!」
ついつい弱音を吐く私の手をそっと握り、隼人くんが優しく手を引いてくれる。
『この人と付き合えるようになって良かった』そう思える瞬間だ。
それから十分も歩いた頃、隼人くんが、
「そろそろ――かな?」
と、小さく呟く。
今、私たちは『もう一人の私』との約束の場所。
『とある山奥の花畑』に来ている。
ここまでの道のりも半端では無かった。
隼人くんのお母さんの運転する車で山の中腹辺りまで連れて来てもらったが、それから歩くこと三時間。
すでに私の足も限界に近付いていた。
「もう少しだから頑張って!」
隼人くんの励ましの言葉に支えられつつも、『もう一人の自分』と安易な約束をしてしまった自分を少し恨む。
でも、この『約束』はなぜか絶対に果たさないといけないような気がして――。
しかも、自分の中で『夕方に到着しなければいけない』というような訳の分からない強迫観念じみた思い込みまで発生し、わざわざ隼人くんに夕方に到着するように予定まで組ませてしまった。
時刻はもうすぐ夕焼けを迎える。
「もう歩きたくないよー!」
ついつい弱音を吐く私の手をそっと握り、隼人くんが優しく手を引いてくれる。
『この人と付き合えるようになって良かった』そう思える瞬間だ。
それから十分も歩いた頃、隼人くんが、
「そろそろ――かな?」
と、小さく呟く。