永遠とも思える一瞬の接吻を終え、重ねた唇をそっと離す。
 隼人くんと視線が合う。

(もう……行かなきゃ)
(行くなよ……)
(ごめんね……)
(――謝るなよ! ここに……ここにずっと居てくれよ!)

 隼人くんに少し困ったような表情を見せる。
 出来ることなら――ずっと隼人くんと一緒に居たいのだけど。
 それも許されないようだ。

 自分の体が……再び薄くなってきていることを自認できた。
 薄れ行く私の体を再び強く抱き締めてくる隼人くん。

(行くな! 行くなよぉっ!!!!)

 そう叫ぶ隼人くんの姿がどんどん薄れていく。
 どうやら――とうとうお別れの時が来てしまったようだ。

(隼人くん――きっと、きっとまたどこかで会おうね)

 そう言いながら私たちは三度目で――最後になるキスを交わした。
 お互いに魂だけの存在で……感じるはずもない隼人くんの『体温』を感じながら――。

――そのまま私は『光』に包まれて……本当の無に還っていった。