自分の意識が途切れる――そう思った瞬間だった。
 私の……私の唇に確かに何か触れる感触があった!
 目を開くと――そこには瞳を閉じて私と唇を重ねる隼人くんの姿があった。
 先ほどまで無くなってしまっていた――自分の体まである!

 最後の望み、隼人くんを一瞬戻ってきた体でギュっと抱き締める。
 抱き締められた感触に気が付いたのだろう。
 隼人くんがそっと瞳を開いた。

(お前……体……!)

 驚く隼人くんに笑顔で答えた。

(神様がくれた……ちょっとした奇跡ってヤツかな?)

 隼人くんが嬉しそうな顔で私を強く抱き締め返してくる。
 そして――もう一度私たちは接吻を交わした。

――もう少しだけ……もう少しだけこのままで……。

 接吻を交わしながら――私は『本当に最後の瞬間』が間近に迫ってきていることを本能的に感じ取っていた。