『『約束』して。私が『元に戻ったら』……もう一度ちゃんと私に『好きだ』って告白するって』

 心の中に『マリ』の声が再生される。
 今は――今、目の前にいるのは『マリ』なのか『真里ちゃん』なのかどちらか分からない。
 でも、『約束』を果たそう。
 そう思った。

「こんな状態で……その……順番はかなり狂ってるとは思うけど――」

 短く前置きをする。
 目の前の『マリちゃん』は小さく頷き、俺の言葉を待つ。

「始めまして。そして――真里ちゃん、俺は……君のことが……好きです」

 なんとも変わった境遇での告白。
 でも、それは俺にとって重要なものであるように思えた。

「私も――私もあなたのこと……好きだよ」

 真里ちゃんが俺の告白に答えた。
 そして――急に涙を流し始めた。

 だが、その涙の理由を聞くことができなかった。
 なぜならば――俺も涙を流していたから。

「どうしたの……?」

 真里ちゃんが尋ねてくる。
 でも、まともに答えることができない。

「いや……分からないけど……涙が。あれ? おかしいな……止まらない――」

――その『涙』の理由は、俺の頭の中で展開されていた出来事が理由だった。