真里の格好は私服だった。
 ピンクのシャツにデニムのスカート。水色のスニーカーに肩からトートバッグを提げている。
 その格好を見て今日が土曜日だとやっと分かった。

――学校休みだったんだ。

 ここ数日というもの、『入れ替わり』の騒動のおかげで曜日感覚が完全に狂っていたと思い知らされる。
 まあ、今日でこの『入れ替わり』も終わるのだから曜日など関係ないのだが――私は今日が土曜であったことを密かに感謝する。
 理由は『真里が朝から行動できるから』だ。
 昨夜のメールで『朝に決行』という文字が見えたとき、私は密かに『やった!』と思っていた。

 お母さんの話を聞く限りでは『元に戻る方法』を実行してから動き出せるようになるまで時間がかかるという事だった。
 だとすれば、どうやって真里と『元に戻る方法』を早い時間に決行すればいいだろう?
そんな風に考えていた。

 それが真里からのメールで一気に解決したのだ。
 真里にとっては決心が少しでも鈍る前に『元に戻る方法』を実行してしまいたいという思いからの言葉だったのだろうが、私にとってはまさに『渡りに船』な言葉だった。
 その辺りの事情を説明をし忘れていたのに、こうも都合よくコトが進むとは……やっぱり私と同一人物なだけはある。

 そんなことを考えているうちに真里が私たちの居る場所に到着した。