待ち合わせ場所に着くまではずっと無言だった。
 これ以上ヘタに喋るとボロが出そうなのでずっと黙っていた。

 改札を抜けて、駅前を見回す。
 まだ真里は到着していないようだ。
 バスターミナルまで迎えに行こうかとも思ったが、『元に戻る方法』を実行する場所に移動するのにまた電車を利用しないといけない。
 どうせ移動しなければならないのならば、約束通り改札前で待っていた方が良いだろう。

(なあ、おい)

 待っている間に、また隼人くんが話しかけてくる。

……正直、しつこい。

 昨日の私の態度がそんなに気に入らなかったのだろうか?
 こっちはもうすぐ消えるというのに……だんだんイライラしてくる。
 そんな私のイラつきには気付くことなく隼人くんは続ける。

(お前、やっぱり様子おかしいって、調子が悪いなら急いで『元に戻る』必要ないって!)

――元に戻る……必要が無い!?

 イライラは一気に頂点に達した。
 感情に任せて思わず隼人くんに向かって言い放ってしまう。

「もう! 黙っててよ! もうすぐ何もかも終わるんだから! 細かいことを気にしないでよ!」