「おはよー、チョット緊張で早く目が覚めちゃった」
「え? 何か緊張することでもあった?」

 お母さんの質問に、昨日の夜届いた真里のメールのことを伝える。
 少し残念そうな、でも嬉しそうな、そんな表情でお母さんが励ましてくれる。

「そっか、とうとう戻っちゃうのね。でも……頑張るのよ!」
「うん。 ……っていっても頑張らないといけないのは真里なんだけどね」

 朝からちょっと下ネタに入り気味になっている会話に照れくささを感じて、
 舌をペロっと出しながらお母さんの励ましに答える。

「でも、マリちゃんも頑張って! 今夜はご馳走作って待ってるからね。絶対に食べに来るのよ!」

 お母さんのご馳走かぁ。
 食べに来たいな――また真里にお願いしなきゃならないことが増えてしまった。

「うん!」

 お母さんには元気良く返事をしておいた。
 お母さん、私じゃないけど――真里が絶対に食べにくるからね!
 嘘をついちゃって――。

「――ごめんね」

 つい、頭で考えていたことが口を衝いて出てしまった。
 しまった、と思ったがもう遅い。
 お母さんにはちゃんと私の言葉が聞こえてしまっていた。
 私のいきなりの謝罪の言葉にお母さんが「え? いきなりどうしたの?」と不審がる。