時間はあっという間に過ぎ、眠れぬまま朝を迎えた。
眠れなかったといっても、別に何かしていたワケじゃない。
布団の中でずっと考え事をしていたら――いつの間にか朝になっていただけだ。
朝の静けさの中でキッチンの方角から包丁のリズミカルな音が聞こえてくるのを確認してベッドから出る。
――最後に、お母さんともう一度話しておきたいな。
そう思いながらキッチンへと向かう。
キッチンではお母さんが朝ご飯の仕度をしていた。
私が声をかけるより早く、お母さんが私がキッチンに近寄っていることに気付き声をかけてくる。
「あら、おはよう。早いわねー、まだ朝ご飯できてないのよ」
朝ご飯も――最後になるのですごく楽しみだが、今はお母さんと話がしたい。
私が隼人くんと入れ替わってしまった後も何かと世話をしてくれた優しいお母さん。
――お母さんとゆっくり話せるのも……これで最後か。
せめて楽しく会話しよう。そう心に決める。
私はこれで最後と分かっていても――「さよなら」は言わない。
お母さんにきっちり話さないのは悪いとは思うけど……最後は誰にも知られたくない。
それが私の最後のワガママだ。
眠れなかったといっても、別に何かしていたワケじゃない。
布団の中でずっと考え事をしていたら――いつの間にか朝になっていただけだ。
朝の静けさの中でキッチンの方角から包丁のリズミカルな音が聞こえてくるのを確認してベッドから出る。
――最後に、お母さんともう一度話しておきたいな。
そう思いながらキッチンへと向かう。
キッチンではお母さんが朝ご飯の仕度をしていた。
私が声をかけるより早く、お母さんが私がキッチンに近寄っていることに気付き声をかけてくる。
「あら、おはよう。早いわねー、まだ朝ご飯できてないのよ」
朝ご飯も――最後になるのですごく楽しみだが、今はお母さんと話がしたい。
私が隼人くんと入れ替わってしまった後も何かと世話をしてくれた優しいお母さん。
――お母さんとゆっくり話せるのも……これで最後か。
せめて楽しく会話しよう。そう心に決める。
私はこれで最後と分かっていても――「さよなら」は言わない。
お母さんにきっちり話さないのは悪いとは思うけど……最後は誰にも知られたくない。
それが私の最後のワガママだ。