カラオケボックスで説得されること五時間。
粘りに粘ってみたけれど……無駄な抵抗だった。
真里が説得してきて隼人くんが加勢する波状攻撃。
私は断りきることもできずに敗北した。

真里の提案した計画は今夜実行されることになった。
カラオケボックスを出るころにはすでに日は傾き、
帰宅ラッシュが始まろうとする時間を迎えていた。

電車の中で真里と別れる。
連絡用に隼人くんの携帯番号を教えておく。

「じゃあ十二時三十分ね……?」

その言葉を残して真里は帰って行った。
十二時三十分にお互いフィニッシュを迎えるようにして、
終了したら真里から隼人くんに確認の電話をする。
そういう手はずになった。

(ま、これで成功すれば儲けもんだろ?)
「アナタのためにやってるんだからね?」

隼人くんと真里、それぞれに言われた言葉だ――。

確かに私に体を奪われている隼人くんはともかくとして、
真里は現状のままで何一つ困ることは無いわけだ。
そういう意味では私に協力してくれてることになる。

でも……BL小説で読んだことはあるけど、
男の子の一人エッチって……うう……そういう事をするんだよね?

――私、まだ処女なのに……やっぱり……握らないといけないんですか?