(何でそんな意味の無い嘘を……)

 床に両手をついた態勢のまま隼人くんが唸るように呟く。
 意味は無くないんですよ?
 肝心なことをはぐらかすための嘘ですから――。

 この際だからもう少しだけからかってみよう。
 『約束』以外にも気になることもあるし。

「ねえ、隼人くんってさ――」

 声をかける。
 顔を上げて「ん?」と私の顔を見ながら私の言葉の続きを待つ隼人くん。
 ここは……ストレートに聞いてみよう。

「オッパイの大きい女の子が好きなの?」
(ブハッ!!!!!)

――あ、口から何か吐き出した。……これは……『エクトプラズム』ってやつ?

(※エクトプラズム ……心霊学で、霊媒の体孔から出るといわれる流動性の物質。)