文句を言ってくる二人を半ば強引にカラオケ屋から連れ出し、近所のファミレスで昼ご飯を食べる。
本当はお母さんのご飯を食べたかったんだけど、あまり贅沢ばかり言っているとバチが当たるだろう。
昼ご飯の間はコレといったことも起きず、そのまま店を出て公園へ向かう。

昼過ぎの公園は人もまばら。
人目を気にすることもなく、私も真里も隼人くんと会話することができるような感じ。
それでも一応は人目につきにくい場所を選んでベンチに座る。

少し陰になっている場所に座ったのだが、木々の隙間から降ってくるような木漏れ日が暖かくて気持ち良い。
時折吹いてくる風も頬を撫でるようにそよぎ、その風に揺らされる木々のザワザワという音も耳に心地良い。

「うーん、気持ち良いね!」

ベンチに座ったまま伸びをし、隣に座る真里と正面に立っている隼人くんに同意を求める。

(ああ……そうだな)

真里は黙ったまま、隼人くんは他にも何かを言いたげな表情でそう答える。
何か二人とも様子がおかしくない?
昨日と同じく、私はまたも仲間外れなのかな?

そう思っていると、私の不意をつくように真里が口を開いた。

「――なんか、アンタの様子、おかしくない?」
(そう……だよな?)

すかさず隼人くんも真里の言葉に同調する。

――このバカップルども……ヘンなところで鋭いな。

 まあ、好き勝手を始めてるのだ。様子がおかしいように見えても仕方ない。
 むしろ、そう思ってもらえれば私の目的は果たせていることになるので喜ばしいことだ。

「へ? そんなことないんじゃない?」

 表向きにはそう返事をしておく。
 私の行動が変わった理由など、この二人は知らないほうが良い。
 知ればきっと『元に戻る』ことを躊躇う、容易に想像がつくのだ。
 そうなってしまったら私の決心が鈍る――だからこのままで良い。

――さーて、話がこんがらがる前に二人まとめて『約束』を片付けるかぁ!