私とカズちゃんが入れ替わったのが『一回剥がした接着剤理論』によるものであってもだ。
 入れ替わってしまっている状態には何も変わりはない。
 要は『入れ替わりの儀式』をすれば戻るのか?大事なのはソコだ。

で も……『入れ替わりの儀式』しか方法が無いなら……次の満月まで待たないといけないんだよね。

――とりあえず……聞いてみるしかないよなぁ。

「それで……次の満月まで待たないといけないの?」

 ちょっとした落胆と大きな苛立ちによって声のトーンが低くなっているのが自分でも分かる。
 私の声のトーンにお祖父ちゃんが怯んだような表情を見せる。

――大丈夫よ、余程のことがない限りツッコまないから。

 もう、お祖父ちゃんはツッコミを受けるのを前提で話してるとしか思えない。
 ツッコミを入れると話の展開が遅くなるし、ツッコミを入れないと精神衛生上とても体に良くない。
 どうせ次の答えも思わずツッコミを入れたくなるような言葉なんだろうなぁ。
 そんな半ば諦めにも似たような気持ちでお祖父ちゃんの返答を待つ。

――が、この予想は良い方に覆された。

「いや、『入れ替わりの儀式』より良い方法があるんじゃよ!」

――え?………………なんだって~~~~~~~!!!???

 じゃあさっきまで長々と話してた『入れ替わりの儀式』に関することは何?
 いま現在の状況で関係するからあんなに長々と話したんだよね?

 いや、『入れ替わりの儀式』のために満月の夜まで待たないで済むならそっちの方が良いかもしれない。
 ここはツッコミを入れるのはじっと我慢して、お祖父ちゃんの言う『良い方法』とやらを聞かせてもらわないと!