カズちゃんの呟きによって、私の気勢は完全に削がれてしまった。
 先ほどまでの『何がなんでも聞き出してやる』という気持ちが急速にしぼむ。

「どう……いうことなの?」

 お祖父ちゃんに掴みかかりそうだった手を引っ込めながらカズちゃんに尋ねる。
 カズちゃんは無言で俯いてしまっている――。
 さすがに……相手がカズちゃん、しかも私の体を相手に掴みかかれない。

 ただひたすらに――カズちゃんが話を始めるのを待つ。
 でも、ここで沈黙を破ったのは――お祖父ちゃん。

「ええよ、カズ。ワシが話すよ」

 いや、お祖父ちゃんがヘタに隠すからこんなに雰囲気が重くなってるわけで。
 まあ、やっと話すと言い出したんだからここはキッチリと話してもらおうじゃないの。
 ツッコミもカズちゃんに対してよりは言いやすいわけだしね。

 お祖父ちゃんは喉の調子を整えるようにコホンと小さく一つ咳払いをする。
 そして、ゆっくりと語り出した――カズちゃんの家に伝わる『チカラ』の話を。