「そうかそうか、それで――かすみちゃんはいつまでここにいれるんだい?」
「えっと、できれば今日は泊めてほしいんです」
「もちろんだとも、もっと長くいてもいいんだよ?」
「その、夏休みだから長く泊まりたいんですけど。ママに一日だけ泊まってくるかも、としか言ってなくて」

 カズちゃんと少しでも長く一緒にいれるならそれに越したことは無い。
 だが、さすがに親に心配をかけるわけにはいかない。
 そこにお祖父ちゃんが助け舟を出してくれた。

「おうちにはワシが電話しといてあげよう」

 ありがたい、そう思うと同時に素朴な疑問。
 電話って……ココって電気通ってないですよね?
 思ったままの疑問がつい口に出る。

「あの、電話って……あるんですか?」
「ああ、バス停前のシゲさんの家で借りるんじゃよ」

 ああ、あの商店街のおじさんのところね……って!
 慣れた人でも二時間かかる道のりだよね?
 電話をするために片道二時間……すごい世界だ。
 ここでもう一つ疑問が。

「あの、電話がかかってくる時は……どうするんですか?」

 お祖父ちゃんあてに電話があったらどうするんだろう?
 シゲさんが呼びに来るの?
 それともお祖父ちゃんに連絡しようと思ったら手紙しかないのかな?

 お祖父ちゃんは、わっはっはという笑いの後に続けた。

「狼煙を上げてもらうんじゃよ」

――ノロシ……って!