「――会いたかったよぉ」

 抱きしめたままカズちゃんに囁くように――気持ちの奥底から湧き出た言葉だった。

「ぼくも、会いたかった!」

 私を優しくぎゅっと抱きしめ返して、カズちゃんが答える。
 ああ……やっぱり夢じゃないよ。

 感動の再会――浸っていた……はずなんだけど。

「ほーら、やっぱりアンタの家探しとったじゃろ?」

 いきなりカズちゃんの背後から声が聞こえる。

「しっかし、若いモンは大胆じゃのぉ」

 二人の男性の声。
 一人は……聞き覚えがあるぞ?
 えーと……んーと……あ!

――バス停の前で会った商店街のおじさん!!!

 もう一人もどっかで聞いた覚えがあるんだけど……はて?どこでだったのやら。
 疲れ切った頭は上手く働いてくれそうもない――。