「おーい! カズちゃーん!」

 私の名前は中道 かすみ。
 十五歳の女子中学生だ。
 今、私が呼びかけたのは歳平 一哉くん。
 近所に住む十二歳の子だ。

 家が隣同士、かつ親同士の仲も良いため今日まで姉弟同然に育ってきた。
 そんな弟のような存在のカズちゃんが今日引っ越してしまう。

 引っ越すといっても、彼の家の人が全員引っ越すわけではない。
 家を出るのは彼――カズちゃんだけだ。

 引っ越す理由はカズちゃんから少し聞いている。

――病気の療養のためだそうだ。