まだ疑惑は残るものの何とか私を信じてくれた真里。

「とりあえず……場所、移動しない?私も学校サボっちゃたから」

 真里が提案してくる。
 確かに……駅前に学生服の男女が二人。
 補導員に見られたら格好の餌食になってしまう。

「ん、そうだね、とりあえず……移動しよっか」

 提案に賛成する私。

「じゃあさ、顔、洗っておいでよ。涙の跡目立っちゃうよ?」
「ん……目立つ?」
「うん、男の子の顔だから尚のこと」
「う……顔、洗ってくる」

 ここで……私はこの体でいることの嫌さを心底思い知らされる。

 外で顔を洗おうと思うと……トイレしか無いわけで。
 トイレに入ろうと思うと……男子トイレに行かないといけないわけで。
 最初、間違えて女子トイレに入ろうとしたら
 入り口に立っていたオバサンに睨まれて現在の自分の状態を再認識させられた。

――そっかぁ、男の子の体なんだよね。

 でも……顔を洗わないと目立つんだから……男子トイレに入るしか無いよねぇ。