「信じられないかもしれないけど……事実なの」

 念を押すように私にもう一度言う。
 眉間にシワを寄せて信じがたいといった表情の私。

「うーん、本当に何がどうなってるの?
私はここにいるのに……アナタも私って……?」

 私に私を認めさせたところで事態は進展しない。
 進展はしていなくても、
 それでも少しは気分が軽くなる。
 これでやっと悩みを相談する相手が見つかったのだから。

「それが分からないから困ってるんだけど……協力してくれる?」

 やっと見つかった相談相手だ。
 早速相談を持ちかけてみる。
 私が困ってるんだから、せめて元の私にはこのおかしな状況を少しでもマシに出来るように協力してもらわないと……。
 私的には少しでもこの苦しみを分かってくれる人が欲しい。

「うーん、何も協力できるようなことも無いんだけど……」
「分かってるけど……愚痴くらい聞いてくれるだけでもいいからさ、ね?」

 とりあえず知り合いにも話せないし、
 こんな悩みを聞いてくれるような施設……精神病院くらいしか思いつかない。
 精神病院でなければどこかの実験施設とかに送られそうな現象だ。
 誰にも明かせないこんな奇妙な悩みを一人で抱えることになれば本気で狂ってしまうだろう。

 私は元の私を必死で説得する。
 後が無いという気持ちが説得力を持たせてくれたのだろうか。
 仕方ない……といった感じで頷く私。

――ふう、これで後はこの奇妙な状態が無くなればいいんだけど。