明らかに隼人くんの声だった。

 隼人くんと恋人同士になる夢を見て眠ったから幻聴でも聞こえたのか?
 鏡越しに会話するときにしか聞こえない隼人くんの声が、鏡も見ていない眠っている間に聞こえるわけがない。

 それにしても『バカマリ』とは失礼な話だ……。
 まあ実際バカなんだけどさ。

 そう思いながらもう一度周囲を見回す。
 部屋の入り口、カーテンを開けっ放しにしてしまっていた窓、
 カーペットの敷かれた床、ティッシュが大量に入ったゴミ箱。

 そして……隼人くんの机を見たときだ。

――そこに隼人くんが……いた。