――まさか……私の中身は……入れ替わってない!?

 だったら……この『中道 隼人』くんの中に入っている私は一体何なんだ!?
 とりあえず、このままでは引っ込みが付かない、私と私の問答は続く。

「私になりきってるって……言ってる意味が分からないんですけど?」

 かなり憮然とした表情で私が私に言ってくる。
 そりゃあ私だって知らない人にいきなりこう言われたら腹が立つだろうけど……。
 でも、アンタの目の前にいるのも正真正銘の私なんだよ!
 姿は全然見知らぬ人なんだけどさぁ……。

 第一、入れ替わってるんじゃないの?
 何で私は私のままなの?

「アンタって……佐渡 真里(さわたり まり)……なの?」

 自分で自分に自分の名前を確認してるのって……私ぐらいじゃないだろうか?
 おかしな行動だって自覚してる、でも、聞かずにはいられない。
 このままでは頭がおかしくなってしまいそうだ。

「え……?そうだけど……だから何なの?」

 無情にも私の体は私が恐れていた答えを口にした。

――やっぱり……私は私のままなのか……。

 でもさあ!本当にこれじゃワケが分からないじゃん?
 私の意識はここにあって
 でも私は私のままで意識を保ってて、普通に生活してて。

 この状況で苦しいのって……もしかして私だけ?