言わなくてはならないことはハッキリしている。
 でも、それを言い出せないままの私。
 この現実が重過ぎるのだ。
 隼人くんの魂が消えたままだったら?
 この状態で私が真理の体に戻ったら?

――その先は恐ろしい想像しか思いつかない。

 お母さんにこの事実を告げたところで何かが解決するとは思えない。
 そんな現実が私の口をなお重いものにしている。

「うーん、例の『元に戻る方法』のことかな? 真里ちゃんが反対した? それとも隼人が?」

 違う。確かにその問題も解決していないけど、もっと重要なことなの。
 言わなきゃ、もしどうにもならないとしてもお母さんにだけはちゃんと伝えておかなくちゃいけない。
 どんなに罵倒されたとしても仕方ない。
 もし……隼人くんの魂が消滅してしまっているとしても、それは私にも大きな責任があるのだから。

――私は決心を固める。

「あの……ね、お母さん。……隼人くんが……いなくなっちゃったの」

 途切れ途切れになりながら、話の最も重要な部分だけを何とか伝える。

……隼人くんのお母さんの反応は……ない、微動だにしない。