母は、幼い頃から、芸能界やアイドルに憧れ、でも、16歳の時、5歳上の父と出会い、18歳で私を産んだ。
自分の夢を託す様に、私を生後8ヶ月頃から、色々なオーディションに参加し、11ヶ月頃から、小さなスーパーの広告など、モデルを始める。

私は、物心付いた頃には、もう仕事をしていた。

母は、自分の出来る限りの時間を私に費やした。5歳まで、ピアノやバレエ、ダンスや演技指導など、習い事に通わせながら、自分も夜、パートにでた。

母は、夢中になり過ぎて、結果、家を空けてばかりの母に、父が不満を抱くのは、当然の事で、顔を合わせると、喧嘩の毎日に、私が五歳の誕生日、モデルの仕事を終えて、ケーキを母に買ってもらい、家に帰ると、父の荷物が無くなっていた。

母は、テーブルの上の手紙を見た後、浴室や寝室を回り、父と父の荷物を探した。寝室のクローゼットを開けたまま、母は泣き崩れた。
幼かった私は、何が起きているか解らず、ただ泣いている母をいつも母がしてくれるように、頭を撫でるしかなかった。

それからの母は、今まで以上に私に力を注ぐ様になった。

そんな一生懸命な母の願いが届いたのか、某食品メーカーのCMが話題になり、私は注目を集めた。