由美「そこ、私の席なんだけど?」

私は、その元気な女の子に圧倒されたのと、私の席だといわれた事を、すぐには理解できず、目を白黒させていたに違いない。

由美「あなたの席は、私の後ろよ。」
紗智「ごめんなさい…。」
私は、恥ずかしくって、顔を伏せたまま、荷物を後ろの席に移した。
休みがちだった私は、席替えがあったのを知らず、前に来た時の席に座ったのだった。

彼女も席に座り、荷物を片付けて、ランドセルを机のフックに掛けてから、クルッと後ろを向き、
由美「あんたに会うの、初めてだね。私は、先週転校してきた、神崎由美。ヨロシクね!」

この頃、もうCMやドラマなど、テレビに出ていた私は、クラスの中でも浮いている存在だった。皆、私の事を知ってるけど、遠くから見ているだけで、噂話しはしてたと思うけど、話し掛けてくる子はいなかった。
1週間のうち、数時間の学校生活で、私は、それでもいいと思っていた。

けど、由美ちゃんは、教室に入って来た時と、変わらない笑顔で、私に当然の様に話し掛けてきた。