校長室には、プロダクションの片桐さんがいた。(私のマネージャー、母と共に、いつも現場には、付き添ってくれていたが、何だか、母の部下の様に、雑用ばかりやらされてた。)


紗智「片桐さん、どうしたの?」

片桐「さっちゃん、あのね…。ちょっと事情があって、お母さんの代わりに迎えに来たの。」

紗智「お母さん、どうかしたの?」

片桐さんは、困惑した感じで、答えなかった。

担任の先生は、事情を聞いたのか、私の荷物を持って来た。

嫌な予感で、一杯になった私を、片桐さんは、引っ張る様にして、学校から連れ出した。

タクシーに乗り、黙って何気なく、窓の外をみていたら、片桐さんが、すごく小さな声で話し始めた。

「さっちゃん、暫くお家には帰れないの。ホテルに…お母さんも、ホテルにいるから、とりあえず、お母さんの所に行こう。それから、社長から、話しがあると思うから…。」

私は、何か大変な事が起きているのだと、確信するしかなかった…。

窓の外を見ていたら、ちょうど2丁目公園の前。

由美ちゃん、ごめんね。
また今度も、行けそうにないよ。由美ちゃんが誘ってくれたの、二回目だったね。とっても嬉しかったのに、また、行けないよ。

涙が溢れてきた。
ゆみちゃんとの約束を守れなかったからなのか、お母さんが心配だったからなのか、お父さんの事なのか…
きっと、全部だ…。