私は、家に残した母の事を気にかけながら、でも、幼い私には、目の前の小さなイベントのワクワク感に、学校に近づくにつれ、浮き足だち、朝の心配事も、だんだん薄れていった。

学校から、神社に向かう道のりも、私は、ゆみちゃんと手を繋ぎ、「今日、何書く?」とか、「昨日テレビでね!」とか、たわいもない話で、笑ってた。

私は、由美ちゃんと、神社の大きな神木越しに、鳥居が見えるスポットを書くに決めて、絵を書く準備を始めた。

由美「私、お水汲んでくるね!さっちゃんのも!」
紗智「あっ、私行くよ!」由美「大丈夫!大丈夫!ちょっと、待っててね!」 
由美ちゃんは、そう言って、元気に走って行った。

私は、絵の下書きを書こうと準備をしていた。

うつむいていた私は、誰かが近づいきたのに気付き、顔をあげると、そこには、クラスの三人の男の子だった。

相変わらず、クラスに馴染めていない私は、その子達の名前さえ、浮かんでこなかった。

今まで、女子はもちろん、男子に声を掛けられる事が無かった私は、びっくりして、彼らを見つめた。

一人の男の子が、「お前の父ちゃん、秋山亨(とおる)って、言うんだろ?お前の父ちゃん、悪い事して、警察に捕まったんだろ?うちのお母さんが、言ってた。」