ついに来てしまった…。

和泉君の部屋の前で、ドキドキと心臓を高鳴らせながら静かにドアの前に立った。


お兄さんに勝手に部屋に行っていいって言われたけど、これってかなりすごいことしてるんじゃないだろうか…。


和泉君にとっては、勝手に家の中に上がりこんできたって思われるよね…。


ドアをノックしようかどうか迷っている。


そもそも、和泉君にとって私は今一番会いたくない女かもしれないのに…。


自分から突き放しておいて、やっぱり会いたいとこうして勝手に来るなんて、かなり都合いいよね…。

許されないかもしれないけど…。



でも、ここまで来たんだ。

麻美やお兄ちゃん、純ちゃんや優作さん、そして、和泉君のお兄さんの顔が浮かぶ。


もう、引き返せない―――。


意を決して、目の前の扉をノックした。