「よかった」

お兄さんは本当に安堵したように微笑んだ。

私たちに何があったのか最後まで聞いてこなかったけど、きっと、いろいろと察してお兄さんなりに心配していたんだと思う。


「ありがとうございました」

深々と頭を下げてお礼を言うと、お兄さんは笑いながら「顔あげて」と言った。


「俺のためだから。アイツが機嫌悪いと、超恐いのよ。1日も早く、機嫌を直してほしいの」

そう言って、「じゃあ俺、もう行くね」と玄関に向かった。



「勝手に2階上がって、部屋に行っていいからね」

「はい…ありがとうございました」

そのまま出かけていくお兄さんを見送っていると、お兄さんは「あ、そうそう」と振り返りニヤリと笑った。


「安心して。俺、今日は帰らないから……ごゆっくり」

「なっ…!!」

一瞬で顔を赤くした私にお兄さんは満足そうに笑い、「じゃあね〜」と出かけてしまった。