「ごめんね〜。和泉に会わせる前に、俺がモカちゃんと話したかったからさ〜」

「ど、どうしよ!!やっぱり帰ります!!」

和泉君がいると思ったら急に緊張してきて、慌てて玄関の方に向かった。


「待ってモカちゃん!!」

逃げるように帰る私の腕を、お兄さんが引き止めた。


「和泉に会ってやってくれないかな?」

「で、でも…」

「元々、ここには和泉に会いに来たんでしょ?」


そうだった…。

またいつものように逃げようとしている…。ついさっき自分に反省したばかりなのに…。

ここで帰ったら何も進まない…。



「やっぱり…あ、会ってきます…」

再び決心し小さく呟くと、お兄さんはホッとした様子だった。