「ちょっ…!!ここ思いっきり街中なんだけど!!」

「そんなのどーでもいい…」

どうでもよくないよ!!

道行く人がチラチラとこちらを見ている。

グイッと押し返して離そうとしても、和泉君は離れない。全く気にしていない様子で私の顔を見つめてきた。


「ホントはすげー嫌だ…。モカがバイトに行くのが」

しかも楽しそうに、と和泉君はボソッと呟いた。


「そ、そんなこと言われても…!!それより離してよ…」

「嫌だ…」

そう言って、ますますギュッと強く抱き締めてくる。


「やだっ…ちょっと…!!」

クスクスという笑い声や好奇心に満ちた周りの目が突き刺さる。