「ねぇ!あれ黒崎和泉じゃない!?」

「ホントだっ!!何でここにいるの!?っていうかあの女誰!?」


帰宅する学生が多い中、私を連れて歩いている和泉君はやはり女子たちの注目の的になっている。

あちらこちらでザワザワと声があがり、痛いほどの視線を感じる。



…もう…いやだな…。最近、こうして注目されるがキツくてたまらない。


おそらく、みんなの声は和泉君の耳にも届いているだろう。

腰に回っている腕の力がグッと強まった。

周りが騒ぐほど、和泉君は見せつけるかのように私とくっつき、離そうとしない。


少し歩くスピードを速めた和泉君は、足早に大学をあとにした。